2007年07月23日
◆ 電力パニック
原発は危険だから廃止してしまえ、という意見がある。
これは仮定の話だが、もし現実に原発が停止したら、どうなるか? ひどい電力パニックが起こるだろう。
これをあらかじめ想定して、準備しておいた方がいい。
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なぜ想定する必要があるかというと、「原発停止」は、架空の話ではなく、現実に起こるからだ。その例が、先日の中越沖地震のときの原発停止だ。
ここでは、フェイルセーフによって、原発は停止した。しかし、原発は安全になっても、日本全体はかえって危険になるかもしれない。(比喩的に言うと、心臓が自分を守ろうとして作動を弱めると、人間全体が壊れてしまう、というふうな。)
先日の原発停止では、特に問題は起こらなかった。それは、余裕電力があったからだ。というのは、今年は冷夏のせいで、クーラーの使用量が激減しているからだ。例年ならば、この時期にはクーラーがガンガン効いていたはずで、余裕電力はなかっただろう。となると、あちこちで電力不足が起こっていたかもしれない。
現状では、各地の原発のおかげで、余裕電力は結構ある。しかし、各地の原発がいくつか廃止されると、余裕電力は激減する。地震で一つつぶれただけで、広域に電力不足が発生するかもしれない。すると、どうなるか? それを想定しておくといい。
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一般に、電力が不足すると、どこかで電気が流れなくなるのではなく、全体で電圧が下がる。たとえば、100ボルトが95ボルトになる。この影響は、電信柱から離れたところほど、影響が大きく出る。
通常の電器製品は、90ボルト〜110ボルトに対応しているので、特に問題はなさそうだが、電信柱から離れたところにある電器製品だと、85ボルトぐらいにまで下がってしまって、機械が正常に作動しなくなるかもしれない。さらには、状況がひどくなって、70ボルトぐらいまで下がると、たいていの電器製品がおかしくなるだろう。
電圧が下がっても、扇風機ぐらいなら、扇風機が弱まるか止まるか、その程度だが、もっとひどいことが起こる可能性もある。以下に列挙しよう。(必ずそうなるとは限らないが、可能性を考える。)
・ 病院の治療機器が異常を起こす。あげく、患者死亡。
・ 交通信号がまともに作動しない。あげく、事故多発。
・ 工場の装置が突然ストップして、装置の破壊。工員が大ケガ。
・ ガソリンタンクなどの循環がおかしくなり、燃料爆発。
あまり実現性はないのも含まれているが、映画あたりだと、こういうパニックが面白おかしく語られるから、まんざら、起こりえないとも言えない。
さて。もっと困るのは、別にある。次のことだ。
・ 情報機器が異常を起こして、そのせいでシステム全体が異常行動を起こす。
こいつが一番、やっかいだ。比喩で言うと、扇風機のモーターの電力が不足するだけなら問題ないが、回路の異常のせいでCPUがおかしくなって、扇風機の制御装置がおかしくなって、モーターが暴走する、というふうになると、ひどいことになる。
これはあくまで比喩だが、似たことは、あらゆる情報機器に当てはまりそうだ。
たとえば、安定的な電圧が 90ボルト〜110ボルトである機械に対して、70ボルト〜80ボルトぐらいで電圧が変動する。すると、パソコンに電源が入ったり入らなくなったりする。そのせいで、電源の部分がおかしくなる。「交流 → 直流」の変換器が壊れてしまう。直流が断続的に、流れたり流れなくなったりする。かくて、CPUに異常信号が流れて、間違った情報処理がなされてしまう。
こいつはちょっと大げさだが、似たようなことが起こらないとは限らない。電圧が異常に変動したときに電子機器がどうなるか、なんていうことは、たいていの場合、チェックされていないはずだ。「電圧は 90ボルト〜110ボルトで安定している」ということが前提となっているはずだ。そして、この前提が壊れたときに、とんでもないことが起こりかねない。
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以上のことを考えたあとで、どうするべきか?
それぞれの電子機器を、異常電力に対応するように、頑丈にしておくべきか? いや、そんなことは、不可能である。だいたい、今さら間に合わない。
とすれば、「原発の異常停止」に対する処置を、今のうちに考えておいた方がいい。
電力会社は、「需要超過のときに電力を切ってもらう契約」というのを、大手の自動車会社などとの間で契約している。しかし、それで間に合うのは、5%ぐらいだろう。もし原発が 20%ぐらい停止したら、どうなるのか? 真夏の電力ピーク時に、複数の原発が一斉に停止したら、どうなるのか? ……ちゃんと想定しておいた方がいいだろう。
年金みたいに、問題が起こってから騒ぐよりは、問題が起こらないように、あらかじめ制度設計しておくべきだ。
さもないと、電力パニックで、日本が崩壊する。
[ 付記 ]
電力不足の際、電子機器が異常作動する、ということは必ずしも起こるとは言えないが、電子機器が停止する、ということは必ず起こる。(すべてが停止するわけではないが、相当多数が停止する。)
その理由は、背理法からわかる。
仮に、すべての電子機器がまったく停止しなかったとしたら、電力がなくても電子機器が正常作動することになる。これでは、永久機関と同じだ。そんなことはありえない。矛盾。
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身近なところで言うと、パソコンが作動しなくなったり、液晶が作動しなくなったりするだろう。ブロードバンドもつながらなくなりそうだ。
なお、液晶のバックライトだけは、たぶん大丈夫である。あれは非常に低い電圧でも点灯する。何も映らない液晶に、ランプだけが点灯する、という状況になるだろう。……なお、この場合、液晶はブラック画面になるはずだ。バックライトは点灯しているが、液晶の情報はブラック画面。究極の無駄。
【 参考 】
停電で電車がストップし、乗客が電車に閉じ込められた、という事故があった。これはかなり広範な大影響をもたらした。
→ Wikipedia
本サイトの論評は
→ http://openblog.meblog.biz/article/35306.html
posted by 管理人 at 19:08
| Comment(4)
| 安全・災害
電圧が下がって送電される電力が減少すると、インバータータイプでは必死になって周波数をあげて電力を得ようとします。
夏に発電量を超えてしまうと小さな停電がエアコンのどんどんと広がっていきます。温度設定を下げていれば、停電を引き起こす効果もリニア以上ではたらいていきます。扇風機ならモーターが止まるだけ。
今までラ・ニーニャの影響が出ない例年の40%以下の日照時間となっていることの有難さとしか言いようがありません。
大きな発電ユニットが脱落→系統の周波数が低下(普通であればここで他の発電ユニットが負荷を持ったり、負荷遮断をしますが)→周波数の低下が解消されず→他の原発・火力のタービン発電機の回転数が降下し自動停止→さらに広範囲に電圧・周波数降下→以降繰り返し・・・となる可能性もあります。
周波数低下により何故タービン発電機が自動停止するのかというと、タービン発電機はもの凄く大きな回転体であり、絶妙な振動バランスで3000rpmで回転しています。(関西なら3600rpm)
それらがホンの少し回転が下がることにより、共振点に近づき、そのままでは破損してしまうため、それ以前に停止する回路となっているからです。
ピンと来ない方もいらっしゃると思いますが、同じ周波数地域であれば、ほぼ全てのタービン発電機の回転数はシンクロしているものなんですよ。
一箇所、気になる点がありましたので指摘させていただきます。
| 電圧が異常に変動したときに電子機器がどうなるか、なんていうことは、たいていの場合、チェックされていないはずだ
家電だとあまりチェックされていないかもしれませんが、海外は日本ほど安定して電力が供給されていないことが多いので大手の企業が輸出するような製品、特に重要なシステムはたいていの場合、チェックされています。
韓国や台湾クラスの国の工場に供給する電力系でも瞬停ってけっこうあるようです。
私の会社も韓国に製品を輸出していますが、瞬停対策をお客様に求められるます。