重油高のせいで銭湯が悲鳴を上げている。そこで重油から都市ガスに切り替える動きがある。自治体も多額の補助金を出している。
しかし、どうせなら、都市ガスよりもコジェネにするべきだ。
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重油高のせいで困っているところは多い。銭湯もそうだ。そこで重油から都市ガスに切り替える銭湯も出てきている。自治体も多額の補助金を出しているという。その結果、コストは 15〜20%ダウンするという。また、炭酸ガスも減るので、一石二鳥だという。(朝日・夕刊・社会面 2008-06-20 )
しかし、よく考えてみると、これは馬鹿げている。
(1) 原油高
そもそも重油というものは、たいていの化石燃料のなかで最も安い。というのは、他に用途があまりないからだ。原油から、ガソリンや灯油や軽油などの高品質の成分が抜き取られたあと、低品質のものが残る。これが重油だ。たいていの過程用途には使えない。そこで産業用に使うしかない。通常、次の三つだ。
・ 発電所の燃料
・ 船舶の燃料
・ ボイラーの燃料
いずれも産業用の用途だ。このくらいしか、使い道がない。ここで使ってもらえなければ、捨てるしかない。捨てれば環境破壊になる。だからどうしても使ってもらう必要がある。そのせいで、価格は低めになる。
一方、都市ガスは、クリーンな高品質の化石燃料だ。最も高品質とも言える。だから、価格は高い。実際、灯油よりもずっと高い。ご存じの通り。自動車の燃料としても、とてもクリーンである。ガソリンなんかよりもずっとクリーンなのだ。(プロパンガス・天然ガスのタクシーはかなり多い。ただし燃料代はガソリンよりも安いが、それはガソリン税がかかっていないからだ。免税になった税金の分で安いだけ。)
ではなぜ、記事では「都市ガスの方が 15〜20%安い」と記されているのか? 記事にあるグラフを見れば一目瞭然だ。もともと都市ガスの方がずっと高い。ただし、現在では原油が急激に高騰しているので、重油の相場も極端に高くなっている。短期的に急上昇している。一方、都市ガスの方は、長期的に安定している。ちっとも上昇していない。
では、なぜ? 「安いから安いんだ」と朝日の記者は思っているのだろうが、とんでもない。本当は、こうだ。
「天然ガスは、スポット市場などはなくて、長期安定契約である。だから一時的に急上昇したり急下落したりしない。市場の実態が価格に反映するまで、かなり時間がかかる」
要するに、こうだ。
「都市ガスは、安いのではなくて、まだ上がっていない、というだけのことだ。」
原油価格上昇にともなって、原油から天然ガスへのシフトが進めば、天然ガスはどんどん上昇していく。最終的には、原油よりもはるかに高い価格になる。(もともと高品質だから当然だ。)
だから、銭湯は、原油から都市ガスに切り替えることで、今の時点ではコストダウンになるが、やがて、都市ガスの価格がぐんぐん上昇していくと、重油よりもはるかに高い価格を負担する必要が出てくる。となると、そのときになって改めて、「都市ガスから重油に」というふうにボイラーを切り替える必要が出てくる。そして、そのときまた、自治体が補助金を出すのかもしれない。 (^^);
つまり、「穴を掘って穴を埋めるために金を出す」というのと同じだ。
結局、相場を正しく見ることが大事だ。
「今は都市ガスの方が安いが、それは相場の関係で、一時的な現象にすぎない。すぐにまた都市ガスの方が価格はずっと高くなる」
こういう相場の理解をすることが大事だ。そして、これとは逆の見方をして、そういう虚偽を報道すると、世の中ではかえって無駄が生じるばかりだ。
(2) コジェネ
では、どうすればいいか? どうせなら、もっと賢い方法を取ればいい。それは「コジェネ」だ。
( ※ コジェネ = 熱電併給。発電と給湯を同時になすこと。)
コジェネは、熱効率が非常に高い。ものすごく高い。省エネを目的とするのであれば、たいていの方法を圧倒的にしのぐ。燃料電池車であれ、ハイブリッドであれ、火力発電であれ、熱効率はたかだか 40%〜45%ぐらいにしかならないが、コジェネならば 70%を上回る熱効率を達成できる。
ただしコジェネには、一つだけ、致命的な短所がある。それは、「せっかく沸かしたお湯の使い道がない」ということだ。お湯をまともに使えば、熱効率は高まるが、お湯の使い道がないと、熱が無駄になってしまう。
しかし、である。銭湯ならば、この問題がない。たくさんのお湯を使うからだ。そして、余った方の電力は、電力会社に買い取ってもらえばいいから、無駄なくエネルギーを利用できる。
だから、自治体としては、「重油から都市ガスへ」ではなく、「重油からコジェネへ」という方向に導くべきなのだ。そのことで、次のメリットが生じる。
・ 燃料費の大幅削減
・ 炭酸ガスの発生の大幅削減
オマケで言えば、「コジェネ産業の振興」という目的も達成される。他のあちこちでもコジェネが普及していくようになりそうだ。
そして、新聞としては、こちらの方こそ報道するべきなのである。「都市ガスに転換するのはすばらしい」というのは、真実よりは虚偽の報道に相当する。こんなことをして、あちこちの銭湯が都市ガスに転換したら、あとで都市ガスが値上がりしたときに、これらの銭湯はみんなつぶれてしまいかねない。
[ 付記 ]
銭湯は将来、全滅するかもしれない。
そのときには、「コインランドリーふうのコインシャワー」というものを普及させればいいだろう。銭湯のような行ったりとした感じは得られないが、コストは低いし、設置も簡単だ。
「人前で裸をさらす」
という風俗は廃れつつあるし、「何でも個別で」という風潮だから、将来的には、コインシャワーが全盛となるだろう。ま、それで、別に問題はない。老人は嫌がるかもしれないが。
→ Google 「コインシャワー」
【 追記 】
あとで調べたら、本項で述べた「コジェネ銭湯」はすでに実用化されていた。世間では全然知られていないようだが。少なくとも、二つのサイトがある。
→ コジェネ銭湯
→ スーパー銭湯などのコジェネ(販売会社)
【 関連項目 】
コジェネと給湯については、次も参照。
→ 省エネと太陽熱
ガスタービンを使うコジェネについては、次を参照。熱効率 80%以上が可能とわかる。
→ 燃料電池の死
2008年06月20日
◆ コジェネと銭湯
posted by 管理人 at 19:20
| Comment(1)
| エネルギー・環境1
この記事へのコメント
京都市では銭湯は盛んで、スーパー銭湯に迫るものも多くあり、地元の人は家に風呂があっても銭湯に行く人が結構おられます。・・・と言うことで京都ではすぐには廃れなさそうです。まぁ、競争激化で廃れるところと改装でレベルアップするところに二極化してますが。
Posted by MacWin王国 at 2008年06月20日 20:46
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