2012年10月06日

◆ 首都高を撤去すべきか?

 老朽化した首都高を撤去するべきか? 実はこれは、ただの論理力テストである。どれがいいかは、予算や建設効果に関係なく、論理力だけで決まる。

 ──
 
 論理力がないと、簡単にわかることも、「ああだ、こうだ」と議論して、なかなか結論が出ないことがある。愚の骨頂。それが、ここにも見て取れる。
 以下、引用しよう。
 《 首都高、高架撤去が急浮上…都心環状線に不要論 》
 東京都心に建造され、建設から40年以上が経過した首都高速道路の高架橋を撤去する構想が急浮上している。
 国土交通省は、老朽化した路線の再整備で「地下トンネル化」を検討しているが、課題はリニア中央新幹線の整備費にも匹敵する巨額の費用。日本橋に覆いかぶさる「都心環状線」は、今後、中央環状線や東京外郭環状道路(外環道)などの整備が進むため、不要になるという意見も出始めた。
 都心環状線など計約90キロ分は建設後40年以上が経過している。設計が古く、道幅が狭いことなどから、合流地点で渋滞が発生しやすいなどの問題も抱えている。
 国交省は今年4月、有識者会議で老朽化路線の再整備方法を検討した。「単純撤去」「既存ルートで架け替え」「地下トンネルで再整備」の3案の中から、トンネル方式を最有力としたが、最大の課題は建設費。老朽化した路線を撤去してトンネルとした場合、工費は総額で約4.3兆円。約5.4兆円とされる東京―名古屋のリニア整備にも匹敵。
 こうした背景から勢いを増すのが「単純撤去」案だ。特に都心の中枢部を周回する都心環状線は、来年度末に中央環状品川線が開通すれば迂回路が完成するため不必要というわけだ。
( → 読売新聞2012年10月6日)
 ここでは、「単純撤去」「既存ルートで架け替え」「地下トンネルで再整備」の3案が示されている。
 記事(紙の新聞では詳しい)によると、「一部だけ地下化する」という第4の案(折衷案)も出ているようだ。ともあれ、侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論がなされているようだ。
 では、どれがいいか?

 ──

 このことは、実は、論理力だけで決まる。こうだ。
 「未来のことは未来にならなくてはわからない。今のうちにああだこうだと予測しても仕方ない。未来になってから、未来の現実を見て、決めればいい」


 比喩的に言えば、こうだ。
 「3年後の今日、傘を差すか差さないか? それを今のうちに論じても無意味である。3年後の当日になって決めればいい」

 当り前だろ? と思う人が多いだろう。しかし、この当り前のことが思い浮かばないのが、専門家たちだ。「どれか一つに今のうちに決める必要がある」と思い込んでおり、「そのときまで待つ」という発想がない。

 ──
 
 具体的に言えば、以下の通り。
 「中央環状品川線 が整備されれば、古い規格で作られた都心環状線は不要になるだろう」
 という見込みがある。
 ならば、中央環状品川線が整備されたあとで、首都高を一週間だけ閉鎖すればいい。そして、そのとき閉鎖しても何も問題がなければ、首都高を単純撤去すればいい。
 一方、そのとき閉鎖によってひどい渋滞が起こるのであれば、単純撤去をやめればいい。
 つまり、そのときになって、「単純撤去の是非」を現実にチェックすればいい。その上で、チェックの結果に従って、単純撤去をするかしないかを決めればいい。
 要するに、「そのときになって現実を見て決める」だ。

( ※ なお、現状では、それはわからない。今のところは中央環状品川線は未完成だからだ。できてもいないものについて、ああだこうだと予測しても仕方がない。当り前。)
 
( ※ 中央環状品川線の完成予定は来年だから、来年になれば、どれがいいかは簡単にわかる。来年のことを言うと鬼が笑う。なのに、今のうちに「これがいい」と決めるのは、愚の骨頂。)

 ──
 
 というわけで、予算も関係なく、建設効果の予想も関係なく、単に「現実を見て決める」ということで足りる。当り前。逆に言えば、現実を見もしないで、「ああだ、こうだ」と論じても、ただの無駄。……こんなことは、論理力を働かせるだけでわかる。(小学生だってわかる。先の傘の比喩を参照。)
 人はいかに論理力不足であるかということを、今回の記事は教える。
 


 [ 付記 ]
 現実にチェックしたあとで、どうするか? 次のいずれかだ。

 (1) 撤去

 首都高を一時的に閉鎖しても特に問題がなければ、撤去すればいい。

 (2) 維持

 普段は閉鎖しても問題がないが、お盆の前後のように一時的に渋滞が起こるのであれば、維持したまま、その時期だけ利用すればいい。普段は使わないことにすれば、老朽化してもかなり長期間、維持できるだろう。

 (3) 地下トンネル

 渋滞があるとしても、地下トンネルは、莫大な工費がかかるので、ありえない。こんなことをやるくらいなら、「都心入場税」をかけて、車の総量を減らす方がマシだ。それで渋滞はなくせる。
 
 (4) 建て替え

 いったん撤去したあとで、数年間をかけて、新たに同じ場所に首都高を再建する。これは「あり」だ。選択肢の一つとして用意しておいていいだろう。

 (5) 交替

 首都高を撤去しないまま、首都高と同時建設する形で、もう一つの建設するといい。いわば併存ふうに。その後、現状の首都高を撤去すればいい。
 これはかなり特殊な工法だ。これが可能なのは、次の理由による。
  ・ 道路の柱は飛び飛びにあるから、間に柱を新設できる。
  ・ 新設後は、柱は共存する。
  ・ 完成後に、古い柱を撤去する。

    現状  ○   ○   ○   ○
    新設  ○ ● ○ ● ○ ● ○ ●
    将来    ●   ●   ●   ●


 柱の部分は、以上のようにすればOK。
 いったんができれば、あとは上乗せする路面だけだ。路面は、プレハブふうの感じで、大量生産してから、一挙にかぶせればいい。工期は1年もかからないだろう。
 結局、工事のために閉鎖される期間は1年未満で済む。
( ※ 柱の建設には、長い時間がかかるが、それは柱の共存だから、いくら時間がかかっても構わない。)
 路面をかぶせたあとでは、古い柱を撤去することになるが、いちいち撤去しなくてもいいかもしれない。ま、撤去してもいいが、ゆっくりやればいいだろう。数年がかりで。
 
 おしまい。
   
( ※ 「専門的に言うと、こういう難点があるぞ」という指摘は、不要です。本項は、おおまかな原理を示すだけ。細かな難点は、そのときになって専門家が調整すればいい。細かな難点があるのは、もともと織り込み済み。本項の目的は、建設の案ではなく、あくまで「発想法」です。)



 【 追記 】
 私としては、(2) の「維持」がお勧めだ。ただし、次のようにする。
 「補強工事をした上で、大型の重量車の通行を禁止する。2トン以下の自動車のみの通行を許可する」
 これだと、低コストで長期間、維持できる。次の関東大震災まで持ちそうだ。で、次の関東大震災で、あちこちが悼むだろうから、そのときに建て直せばいい。
 一方、現状で新たに建て直しても、次の関東大震災が来たら、どうせガタが来るから、また建て直さないといけない。下手をすると、建て直した翌年に、また建て直す必要が出る。ひどいね。馬鹿みたい。 (^^); )
 


 【 参考書籍 】
 ヒラメキと発想法の本。

    

 
posted by 管理人 at 19:32 | Comment(6) | 一般(雑学)1 このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
 最後の (5) が、書き直しの前後の文章が混在して、おかしな文章になっていたので、修正しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2012年10月07日 07:25
 地元では「空中に道路が走るのは景観が良くないから、景観美のために地下トンネル」という案を推奨している。
 → http://www.nihonbashi-michikaigi.jp/sky.html

 呆れた。地元の景観のために、国から4.3兆円もぶんどろうという超強欲さ。
 地元民が 43万人だと仮定すると、一人あたり1000万円をもらうことになる。ふざけた話だ。大泥棒みたいなものだ。国税泥棒。
 どうしても地下トンネルにするのなら、地元民一人あたり 1000万円を課税するべきだろう。それなら正義に叶う。

 太陽光発電を推進する連中もそうだが、「環境のため」という名目で、国から莫大な金を頂戴しようという泥棒みたいな連中が多すぎる。
 エコ詐欺師。
 
Posted by 管理人 at 2012年10月07日 13:16
 最後に 【 追記 】 を加筆しました。
 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2012年10月07日 13:24
 読売・社説
 → http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20121006-OYT1T01086.htm

 ごく普通の無難な見解。

Posted by 管理人 at 2012年10月07日 20:10
当て嵌まる事とそうでない事がある
特に大型公共物には計画性が必要
今必要だから今建築する訳には物理的にも
財政面でも不可能
それをするにはそれが不当な予測に思えてでも計画立案して色々な物事を認可されないとだめです
その計画が気に入らなければ異を唱えればいい
その単純な理論で世の中が回っていれば人類は決して月には行っていないしCERN等も建築されていない
教育がいい例
今役に立つ勉強をしているかと言えば必ずしもそうではない、算数などは実生活上必要だがそうでない科目も多数あるそれは何のためか?
将来は雨と同じように不確定な要素だが必要な時に勉強してからでは遅い事は誰でもわかっている事実です。
Posted by ぽぴ at 2013年10月01日 17:52
 あと半年待てば、中央環状品川線が開通して、状況が確定します。そのとき、不確定性が消えます。
 半年待てばわかることについて、今から騒いだって仕方ない。半年ぐらい待てば? 焦って見当違いの方向にスタートすると、あとで取り返しが付かないことになりますよ。
 勝手な推測をうするよりは、「半年後にどうやって状況を調べるか」を考えた方がいい。計画性は、そこでこそ発揮されるべきです。考えることを間違えてはいけない。
Posted by 管理人 at 2013年10月01日 19:20
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