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トヨタのロボット部門というのは、日本でもかなり先進的なものだ。では、どうしてか? たかがトヨタが、どうして日本でも最先端の技術をもてるのか? それは、トヨタのロボット部門というのは、元はソニーのロボット部門だったからだ。トヨタはソニーのロボット部門を吸収したのだ。
日本ではもともと、ホンダのロボット技術が独走していた。そのあと、ホンダの ASIMO を見たソニーが、ホンダの真似をして、ロボット犬の AIBO を作り上げた。この二社が独走態勢にあった。
その後、現在では、ホンダとトヨタが独走している。そして、これは、トヨタがソニーのロボット部門を買収したからである。
今回のウィングレットでも、(セグウェイの物真似とはいえ)トヨタがもともと独自技術で開発したわけではない。実際に携わったのは、ソニー出身の技術者が大半だった。
→ 記事サイト
→ 昔の記事 (ソニーのロボット事業撤退)
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以上は、すでに知られている情報だ。
このあとは、私なりの見解を示そう。
ソニーはひところ、ロボット事業を大々的に推進しようと目論んでいた。AIBO をたくさん販売して話題になったりした。しかしその後、あっけなく撤退したわけだ。
これについては、ロボットオタクなどで、惜しむ声もある。また、「どうして有力な事業から撤退したんだ」と疑問に思う人もいる。そこで、私なりに説明しよう。
私としては、ロボット事業からの撤退は、当然のことだと思う。
まず、ソニーのロボット研究所というのは、土井という技術者出身の重役が先導していたが、彼の認識が根本的に狂っていた。彼の展望を朝日新聞で読んだことがあるが、「未来はバラ色のロボット社会」というものだった。あまりにも甘すぎる。そんなものは絶対にありえないのだが、ありえないものを夢想して事業を推進していたのだから、破綻するのは当然だ。
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では、どうしてロボット事業は成立しないのか? それについては、前に述べたことがある。
ソニーが「考えるロボット」を開発する予定だという。決められたことしかやらない従来型のロボットに対して、自分で思考して行動するロボット。毎秒1兆回の計算能力があるコンピュータ・システムと組み合わせて、頭の良い人工知能を開発する予定。5年後の実現をめざす。(読売・朝刊・社会面 2004-07-28 )
だが、結論を言えば、上記のソニーの方針は、狂気の沙汰だ。
( → 泉の波立ち 2004年7月29日 )
このように、2004年の時点で、すでにソニーの方針を批判していた。では、なぜ、駄目なのか? それについては、上記の箇所に示してあるが、簡単に言えば、こうだ。
「(ロボットの)人工知能というのは、あまりに幼稚なものである。現在の人工知能技術は、せいぜい昆虫レベルでしかない。魚や蛙や鳥のレベルというのは、はるかに上だ。まして、哺乳類や人間のレベルは、とてつもなく遠い。だから、ロボットに知性を持たせることは、絶対に不可能なのだ。少なくとも、あと百年ぐらいは絶対に無理。ひょっとしたら、千年か万年かかるかもしれない。(鶴亀ですね。 (^^); )」
とにかく、人工知能技術というものは、まったくアテにならない。機械に知能をもたせるという形の「ロボット」は、絶対に不可能なのだ。(近い未来では。)
なのに、そんなことも知らないで、甘い夢ばかりを見ているようでは、人工知能技術の現状というものをまったく理解していない、と言える。技術の現状も知らないで、経営方針を立てるのだから、破綻しても当然なのだ。
だから、私は、もともとソニーの方針に批判的だった。「こんなことでは倒産するぞ」と思っていた。……実際には、倒産しないで、「事業売却」という形を取ったが。
では、どうすればいいか? これについても、別の箇所で説明しておいた。次の趣旨で。
「ロボットでなくサイボーグにせよ」
「機械は、知能をもたせずに肉体だけにせよ。知能部分は人間がなし、肉体部分のみを機械がなすようにせよ。それが、サイボーグ(またはロボットスーツ)だ」
「具体的には、介護用のパワースーツなどを開発すればいい」
( → 泉の波立ち 2004年5月31日 )
そして、現時点においては、たいていのロボット開発者がこのことに気づいている。「ロボットよりもサイボーグ」という形で、介護用ロボットスーツなどが開発されている。もちろん、人工知能などは付いていない。
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今回のトヨタのウィングレットは、この方針(ロボットスーツの系統)にある、と見なせるだろう。
しかし、それにしては、発想がお粗末だ。本当に、足腰の弱った老人のためならば、電動車椅子のように、座面が必要だ。また、座面がないのであれば、若者向けの「高価なオモチャ」となる。
トヨタに移っても、ソニーの技術者は、「自分が何のために何を開発しているか」という理念を理解していないようだ。技術のことばかりに目先が向いていて、その先の哲学的な理念が欠落している。……つまりは、頭が悪い。
これだったら、ホンダのように、「純粋な技術開発のため」という方が、よほどマシである。あそこでは、技術者が技術の楽しみのために、勝手に好き放題の研究をしている。だから独自性のある技術も生まれる。一方、ソニーもトヨタも、「事業化によって目先の利益を追おう」としている。だから、「介護のため」「老人のため」というような目的を据えて、そのあげく、アブハチ取らずのような製品ができてしまう。
トヨタが本当にロボット技術を磨きたいのであれば、「自動車」とか「交通器具」というような制約を離れて、人間の全身を支援するような技術を開発する必要がある。たとえば、「パワー・アーム」のような。
現状のように、「交通」ばかりを主題にして目的を制限していると、「足」だけにこだわることになるので、全身的な総合的な技術開発にタガを嵌められてしまう。それでは、まともな技術開発はできまい。
トヨタのように金儲け主義に凝り固まっている会社は、しょせん、先端技術には向いていないのだ。どうしても先端技術の開発をしたいのであれば、ひとまずは「金儲け主義」から離れる必要がある。ホンダのように。……それができないのであれば、馬鹿げた技術を開発するばかりだろう。
ともあれ、次のことを噛みしめておくといい。
「自由な発想のないところに、先端的な技術開発はありえない」
と。
( ※ さらに言えば、「自由な発想」だけでも駄目だ。先を見通す哲学的な思想が必要となる。実用化技術ならば、目先の技術開発だけをしておけばいいが、遠い未来を見据えた技術ならば、哲学的な思想が絶対に必要なのだ。それなしには、ソニーの土井という人のように、甘い夢想ばかりを見たあげく、最後には破綻することになる。)
[ 付記 ]
「考えるロボット」
というのは、原理的には、不可能ではない。ただし、現在のノイマン型コンピュータとはまったく異なった原理を必要とする。単純に言えば、次の原理が必要だ。
「ソフトウェアを自分で形成していく」
そして、そのためには、次のようなシステムが必要だ。
「試行錯誤において生き残ったものを残していく」
そのためには、さらに次のシステムが必要だ。
「試行錯誤の結果で得られたものを評価する」
こいつが最も難しい。今のソフトウェアは、その良し悪しを人間が判断しているが、機械自身がそれを判断する必要がある。では、そのためには、どうすればいいか? ……という話は、あまりにも専門的になりすぎるので、以下略。
【 関連項目 】
4年ほど前に「泉の波立ち」で、ロボットとサイボーグについて何度も記述した。それらの項目をまとめて紹介しておこう。
→ 5月31日 ,7月29日 ,9月26日 ロボットよりもサイボーグ
→ 11月23日
→ 3月08日 ロボット様による侵略
→ 3月28日 サイボーグ技術
→ 5月31日
内容をざっと知りたいのであれば、
→ Google サイト内検索「ロボット サイボーグ」
( ※ ただし、各ページへのリンクはあるが、各項目へのリンクはない。)
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