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太陽が東から西へ移動するから、その太陽を追っかけて、太陽電池を回転させればいい── というアイデアは、小学生でも思いつく。それをとうとう、シャープが実行すると表明した。
元ネタは、読売・夕刊 2008-08-05 のベタ記事。(効率が2〜3割アップする、とのことだ。)
さらに、ネットで検索してみたところ、次のサイトがあった。
→ 東京都下水局
→ 写真つき記事
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なお、上記の公式発表は、意味がまったくわかりにくい。
(1) 文章
文章によれば、次のように記してある。
「太陽方位にパネルが連動することで、発電効率が向上」
ここで、「方位」というのは、東西南北のことを示す。(国語辞典による。)
したがって、太陽が東から、南を経て、西に移動するのにしたがって、太陽電池が方位を変えることになる。ヒマワリのように。
(2) 図と写真
図と写真を見ると、施設には、方位を変えるための軸が用意されていない。
どうにもわけがわからなかったのだが、どうやら次のことであるようだ。
「南北方向に軸を据えて、太陽が東から、上へ、西へと移動するのに応じて、パネルが回転する」
これは、ヒマワリ(茎が垂直である)とは違う。むしろ、「茎が横に寝ているヒマワリ」とでも言うべきものだ。
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なお、ヒマワリのように方位を変えるタイプというのは、シャープが二年前に発表した。以下、引用。
シャープは13日、ヒマワリのように太陽の動きに合わせてパネルが向きを変える太陽電池の新型システムを、世界で初めて開発したことを明らかにした。この記事では、まさしくヒマワリのように回転する太陽電池が開発されたことになる。こいつが、本項で述べたもののことかもしれない。
太陽エネルギーに対する発電量を示す発電効率は36%で、住宅の屋根などに取り付ける固定型の15〜20%を大幅に上回り、市販の太陽電池では最高水準という。発電所や工場などを対象に来年にも商品化する。
このシステムは、表面のレンズで太陽光を集中させる高効率の小型太陽電池(7ミリ角)を並べたパネルと、モーターなどで構成。太陽の位置、照射時間などの年間データを設置場所ごとに調べた上で、装置に記憶させ、常に太陽光に直角になるようパネルを動かす仕組みだ。価格は未定。
( → 読売新聞 2006年7月14日 )
ただし、「来年にも商品化する」と二年前に書いたくせに、いまだに商品化されていないようだ。
(ここでもホラ吹き。ホラの吹き方がシャープでしょ。 (^^); )
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さて。以上を理解したあとで、私なりに評価しよう。
まず、シャープのアイデアについての評価は、こうだ。
「茎が垂直のヒマワリであれ、茎が寝ているヒマワリであれ、追尾式というものはまったく無意味である。そんなのは小学生でも思いつくが、大人が考えればペケだとわかる。なぜなら、効率アップ分よりも、コストアップ分の方が高いからだ」
効率が3割アップしても、コストが5割アップするのでは、何の意味もない。それだったら平面形(固定式)の太陽電池パネルを増やした方がマシだ。……これが現在の主流の考え方だ。
方位の追尾であれ、上下の追尾であれ、コストは非常に高くなる。なぜなら、太陽電池パネルが台風で吹き飛ばされないようにするには、パネルを支持するための据え付け器具に莫大な価格がかかるからだ。
普通の住宅ならば、まずは屋根をコンクリで固める必要がある。その上、さらに、太い軸を埋め込む。軸が風でも揺らがないように、建物そのものも補強する必要がある。……とうてい無理。
記事にあるように、下水道局の敷地に据え付けるのならば、いくらかはマシだが、それだって、据え付け器具のためのコストは大変だろう。工事費だって大変だ。「パネルを屋根に貼りつけるだけ」というような、固定式の太陽電池とは全然違う。
しかも、である。それほど大変なことをやっても、効率は2〜3割程度しかアップしないだろう。労多くして益少なし。
( ※ 写真を見ると、パネルは水平方向になっている。これだと、夏にはいいが、春秋や冬には、日光がまともに当たらないので、効率低下を起こす。そっちの分の損失がある。)
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実は、それよりもずっといい方法がある。私がここで提案しておこう。(私が言うまでもなく、たぶん業界内では知られているはずだが。)
「鏡によって太陽光を集光する。太陽電池のそばに、太陽光を反射させるための鏡を斜めに付ける」
直感的には、次のような感じだ。
↓↓↓↓↓↓↓ 日光
\_/
この図で、底の部分には太陽電池があり、その両側に斜めの鏡がある。
図の上方から降りかかった日光は、鏡で反射されて、底にある太陽電池に集光される。
注意点は、次の通り。
・ 東西方向にも、上下方向にも、鏡を付ける。
・ 反射面は、平面ではなくて、曲面にする。(放物面)
直感的に言えば、自動車のヘッドランプの反射鏡のようなものだ。ただし、光の進行方向は、ヘッドランプの逆だ。(発光するのではなくて集光する。)
なお、大きさにも注意。大きさが大きいと、風の影響を受けて、吹き飛んでしまう。だから、小さいパネルをたくさん組み合わせる形にする。次のように。
\_/\_/\_/\_/\_/\_/\_/
以上のようにすれば、「方位方向で2倍、上下方向で2倍」、計4倍ぐらいの効率アップになる。
(ただし、太陽電池あたりの効率で。発電効率がアップするわけじゃないが、利用効率はアップする。鏡が集光するから。)
しかも、ここが肝心なのだが、固定式だから、工事費は従来式と変わらない。回転式みたいに馬鹿高い工事費(敷設コスト)はかからない。
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結論。
太陽電池を回転させるよりは、「固定式の鏡を使う」という方法にするべし。
小学生みたいなアイデアを実行するのは馬鹿げている。目の付けどころが安易でしょ。それよりは、コスト概念を考えるべし。
【 追記 】
あとで思い直したのだが、「鏡」よりは「フレネルレンズ」の方がいいだろう。安価だし、効果も同様だ。また、どうせガラスカバーをかけるのだから、ガラスカバー兼用でフレネルレンズ使えば、ガラスカバー代のコストが浮く。コスト的にはとても有利だ。
念のためにネットで検索してみたら、「リニアフレネルレンズ」というのが、太陽光発電のためにすでに発売されている。(太陽電池メーカー向けの部品として。)
将来的にはこれが普及しそうだ。太陽電池の効率を高めるよりは、レンズで集光する方が利口な方法だろう。
( ※ フレネルレンズと鏡は、共用できる。これが一番いいかも。)
( ※ ただ、あまり局所的に集光しすぎても、太陽電池が加熱してしまうので、冷却システムが必要になりそうだ。……そこで、太陽電池の裏で水を温めれば、太陽熱温水器と兼用になるかも。太陽電池の冷却と合わせて、一石二鳥ふう。……頭いい?)
【 後日記 】
「レンズで集光することで効率を高める」
という方式は、すでに実現しつつあるようだ。米国の企業が開発中。
「2009年中ごろまでに1Kwhあたり0.07ドル(約8円)で発電できるものを作る」
とのことだから、現在の5分の1まで発電コストを下げることになる。
( → 該当記事 )
[ 付記 ]
太陽の高度差に対応する必要は、ないかもしれない。
通常、春秋の太陽高度に対応していればいい。
・ それに対する夏冬の太陽高度のズレは、小さい。
(最大でも コサイン23.4度に減るだけだから、大したことはない。)
( cos23.4度 = 0.918 …… グーグル電卓機能による。)
・ 冬はもともと太陽光が弱いから、損失の絶対量は大したことがない。
・ 夏は、温度上昇による効率低下を避けるため、あまりまともに日光を
受けない方がいいかもしれない。
私だったら、上記の方針で固定式にしたい。(傾きは緯度と同じ。東京ならば 35度。実際には少し寝かせて、30度程度。)
ついでだが、パネルの水平設置というのは最悪だろう。cos59.9度 = 0.50 だから、冬場にはわずか 50%まで利用効率が低下する。劇的な低下。……なお、59.9度という数値は、「冬至の太陽の傾き」であり、その値は、「地軸の傾き + その場所の緯度」である。ここで、東京の緯度は 35.5度。緯度に依存する点に注意。 ( → 図による説明 )
なお、上下方向の鏡も必要なさそうだ。それが一番コストがかからないで済むので。とにかく、コストが大事。
( ※ ただ、コストのことを言ったら、太陽電池というものそのものがコスト無視だが。……逆に言えば、太陽光発電をやる人は、徹底的にコスト無視でやっているのかもしれない。浪費の仕方がシャープでしょ。)
【 補説 】
「鏡やフレネルレンズを使う」
という上記の提案に対して、批判が来た。
「そんなことをしても集光する意味はない。その分、太陽電池を敷き詰めた方が、よほど太陽光を有効利用できる」
という批判である。その主張はまったく正しいが、本項の主張を根本的に誤解しているようだ。
たとえば、太陽光が1m2あたりで 100 という強さで当たっているとしよう。(単位はうまく適当に定める。)
ここで、100という太陽エネルギーをうまく利用するために、次の方法がある。
・ 鏡で集光する
・ レンズで集光する
・ 鏡とレンズで集光する
・ 何も集光しないで太陽電池を敷き詰める
この四つのうち、どれが最も効率が高いか? 四番目である。四番目ならば、太陽エネルギーをすべて利用できる。他の方法では、鏡やフレネルレンズを経由する時点で、太陽エネルギーのロスが生じる。また、集光された太陽光がうまく太陽電池に当たらないかもしれない。そういう無駄があちこちで発生する。だから、単純に太陽電池を敷き詰めるのが、太陽光を利用する方法としては最も効率が高いのだ。
しかし、である。太陽電池を敷き詰めた場合には、太陽電池という高額の半導体部品を大量に必要とする。したがってコストが高額になる。
一方、フレネルレンズや鏡ならば、ごく安価だ。鏡というのはただのメッキした金属板かプラスチックパネルだ。フレネルレンズも、レンズというほどでなく、精度の粗い加工がしてあればいい。いずれにせよ、太陽電池に比べれば、圧倒的にコストが低い。ここでは「コスト」という概念が重要だ。
簡単に言えば、こうだ。
「太陽電池パネルが、0.1m2 ある。これをそのまま 0.1m2 の場所にまとめて敷き詰めるのと、それとも、1m2 の面積に降りかかった光を集光してから太陽電池に当てるのとでは、どちらが発電量が高いか?」
もちろん、集光した方が発電効率は高い。
つまり、ここでは、
「一定の光があったときに、その光を有効利用するにはどうすればいいか?」
を考えるのではなく、
「一定の太陽電池パネルがあったときに、その太陽電池を有効利用するにはどうすればいいか?」
を考えればいい。……この違いを誤解したのが、上記の批判だ。
また、鏡の意味を勘違いしてはならない。これは、光を「一点に集光するため」というよりは、「斜めから射した光を有効利用するため」にある。「正午のときに真南から射した光を一点に集めるため」ではなくて、「午後2時ごろに射した光をうまく太陽電池にぶつけるため」にある。
その意味では、上記の「効率が4倍」というのは、誇大宣伝ですね。済みません。「4倍」という数字を見せつけると、まるでレンズのように集光しているように感じられてしまうかもしれない。本当はそんなに効率アップしません。(書いた時点でわかってはいたんだが、ついつい誇大宣伝してしまった。 (^^); )
要点は何かというと、次のことだ。
「太陽電池を敷き詰めるよりは、その半分以下の面積に太陽電池を減らして、残りはフレネルレンズと鏡にした方がいい」
あるいは、次のことだ。
「太陽電池を敷き詰めるよりは、その2倍以上の設置面積に太陽電池を分散して、広い範囲に当たった光をフレネルレンズと鏡で利用する方がいい」
つまりは、「コストあたりの発電量のアップ」である。費用対効果の問題。一定面積に降りかかる太陽光の利用効率の問題ではない。勘違いしないでほしい。
( ※ ともあれ、太陽電池の関係者では、コストを無視して技術的な効率ばかりを考える技術者が多すぎる。普及するか否かは、発電量あたりのコストしだいだ、ということが理解できないようだ。)
( ※ 私見を言えば、「有機薄膜型」という方式は、かなり有望かもしれない。これは、寿命が短いのが難点だとされているが、そこを逆手にとって、部品をすべてプラスチック製にしてしまえばいいのだ。鏡やフレネルレンズを使うにしても、金属をほとんど使わず、プラスチックにする。全体の寿命は 10年以下。かわりに、コストを激安にする。1m2 あたりで1万円をメドにする。これなら売れるかも。…… 一方、現在のシリコン製の太陽電池は、1m2 あたりで 20万円である。この価格が半減したとしても、とても商売になりそうにない。私だったら買いませんね。そんなものに 10万円を払って 150w の出力[夏の快晴時のみ]を得ても、ろくに使い道がない。……とにかく、コストが大事。1にコスト、2にコスト。)
[ オマケ ]
あとで思いついたが、鏡を「放熱フィン」として利用することもできそうだ。
鏡となる金属板を、太陽電池と一体化して接合する。太陽電池が熱したら、その熱が鏡[= 金属板]に熱伝導する。その金属板の裏は黒色に塗装されているので、そこから輻射熱が放散される。こうして、太陽電池の熱が放散される。
この点からも、太陽電池はあまり密集していない方がいいようだ。また、パネル裏面の通風性や放熱性も十分に考慮するべきであるようだ。
(特に、太陽電池の裏側に、背ビレみたいなフィンが付いていてもいいかも。)
【 関連項目 】
→ 太陽光発電の嘘(シャープ)
(2) 図と写真
の箇所で、「上下方向(太陽の高度方向)の変化に応じて、パネルの傾きを変えるための軸」と記述していましたが、これは勘違いだったので、全面的に改めました。
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太陽光発電のアイディアとして、「光をパネル縁に集めて発電する」というものがMITにて開発されつつあるとのことです。
記事
○MIT opens new 'window' on solar energy
→http://web.mit.edu/newsoffice/2008/solarcells-0710.html
パネル外縁部に光発電素子を配置。
パネル内には太陽光を吸収して、特定波長で放射する薬剤を配置。
光は外縁部に集められて、効率的に発電されるとのことです。
以上ネタとして。
フレネルレンズの話。
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