2009年11月09日

◆ スプーン曲げの方法

 スプーン曲げをするにはどうすればいいか? 物理学的に考えて、一つの方法が思い浮かんだので、実行してみた。そうしたら、いともたやすく、スプーン曲げができた。その方法を教える。

 ──

 本項を書く前に、ネットで検索してみたが、Wikipedia などでは「てこの原理を利用して」というふうに書いてある。
 これは正しくない。てこの原理を利用してできるのならば、誰だって簡単にできるはずだし、どのスプーンだって簡単に曲がってしまうはずだ。
( ※ 「てこの原理」なら、いちいち特別に曲げようとしなくても、単に曲げようとするだけで、誰もがその原理を使っていることになる。だとすれば、「誰もが何も工夫せずに簡単に曲げることができる」と書くだけでいい。しかし、それはありえない。そんなことでは、スプーンとして実用性がない。 → 本項最後の 【 追記 】 を参照。)
 
 では、正しくは? 

 ──

 物理学的な原理は別として、いきなり結論を示そう。
 スプーン曲げは、力をかければ簡単にできるというものではない。何らかのコツがある。そのコツをつかめば、誰でもできる。

 では、そのコツとは? 次のことだ。
 「曲がる一点を探し当てる」

 
 スプーン曲げは、どのような条件でもできるのではない。曲がる一点がある。その一点で曲げれば、曲がる。それ以外の点では、ものすごく力をかけないと曲がらない。
 だから、指の使い方とか、力の掛け方とかは、関係ない。単に「曲がる一点」を探せばいいのだ。それに尽きる。

 このことを比喩的に言えば、次のことがある。
 「野球でバットを振ってボールを打つとき、うまく真芯に当たれば、遠くまで飛ぶ。真芯からはずれれば、打ちそこないになる」
 ここでは、真芯という一点に当てることが何よりも大事だ。同様のことは、スプーン曲げにも成立する。

 ──

 このあとは、物理学的な振動理論を応用する。
 一般に、棒状の物体は、振動する。たとえば、次のような棒があったとする。(長さ1メートルぐらい。)

      
 この棒を曲げようとするとき、どうすれば、うまく曲げることができるか?中途半端な位置で曲げようとしても、無理である。
 しかし、ちょうど真ん中に膝を当てて、あとは左右の端をつかんで一挙に曲げようとすれば、うまく曲げることができる。
 この際、ちょうど真ん中という一点を選ぶことが重要だ。そこから少しでも位置がずれると、曲げることが困難となる。

 ──

 スプーン曲げもまったく同じ原理である。
 スプーンを曲げることのできる中間点というものがある。その中間点をうまく見つけて、そこに親指をかける。
 一方、その中間点以外では、両側でバランスが取れるように、力を加える。そうすると、両側の力がうまくバランスするので、中間点にはあまり力を加えることなく、うまく曲げることができる。
( ※ 前述の1メートルの棒を参照。)

 ──

 では、中間点は、どうやって見つけるか? それがコツだ。その方法は、こうだ。
 「中間点らしいところに、親指を当てる。そこを支点にして、(首を振るような感じで) スプーンの皿の部分を、前後に振動させる。振動がそのまま親指に伝わるとしたら、そこは中間点ではない。だから、親指の位置を上下にずらす。いろいろとずらすうちに、スプーンの皿の部分の振動が、あまり伝わらない場所が見つかる。そこが中間点だ」
 場所を探すために、スプーンの皿の部分を、前後に振動させるわけだ。このことは、決しておまじないやクセではない。うまく中間点を探している途中過程なのだ。(この過程がないと、うまく中間点を見つけることができない。)

 こうしてうまく中間点を見つけたら、そこに親指を当てて、あとは一挙に曲げる。この際、親指には、あまり力をかけなくていい。力をかける部分は、中間点ではなく、スプーンの両端だ。
 こうして、中間点の裏側にある親指にはあまり力をかけることなく、スプーンを曲げることができる。

( ※ きっとそうなるだろう、と物理学的に推測してから実行した。それで、実際、うまく行った。)

 [ 注意 ]
 うまく行くからといって、あまり安易にスプーンを曲げないように。奥さんに叱られます。  (^^);
    
 [ 付記1 ]
 「中間点」というのは、位置的な中間点ではなくて、振動の中間点という意味。間違えないように。(全体の長さのちょうど中央のところを曲げようと思っても、無理です。)
  
 [ 付記2 ]
 力をかけるときは、両端を持ってから、「両端から中央へ」という方向の力をかけるといい。その際、指に力をかけるというより、腕に力をかける。これがコツ。


 [ 余談 ]
 実行したあとは、神秘化するために、「念力をかける」とか、「宇宙の霊気を注ぐ」とか、「オーラを送る」とか、ゴマ化しの言葉をかけてもいいだろう。



 【 追記 】 (てこの原理について)
 実を言うと、「てこの原理で」というのは、はっきり間違いだと言える。Wikipedia の図によれば、中央部分に非常に大きな力がかかることで、スプーンが曲がることになる。
 しかし、もしそうだとすれば、親指にものすごい力がかかることになって、親指が力に耐えきれないはずだ。(実際、「行列ができる相談所」では、紳助が力任せにスプーンを曲げようとしたが、親指が痛くなって、失敗した。これは、てこの原理では無理だ、ということを示す。)
 実は、スプーン曲げでは、中央の部分には、押す力はほとんどかからない。てこの原理ならば、押す力が強くかかるが、実際には、押す力はほとんどかからない。つまり、てこの原理とは正反対とも言える原理が働く。
( ※ 物理学的には「応力歪み」というような原理。たとえば、硬い骨も、骨の両端から内側に向けて強い力を加えると、簡単に折れてしまう。これで骨折してしまうスポーツマンはとても多い。)





《 Amazon ベストセラー書籍 》




  
posted by 管理人 at 20:17 | Comment(14) | 科学トピック1 このエントリーをはてなブックマークに追加
この記事へのコメント
面白いですね。
スプーンのような形状の場合,振動の節位置が曲げ応力に一番弱い箇所に一致するんでしょうか。
Posted by 良寛 at 2009年11月09日 05:58
 その場所が特別に弱いのではなく、その場所に一番力が集まるんです。一本の棒を両手に持って二つに曲げるとき、中央に力がかかるのと同じです。棒の中央が形状的に一番弱いわけではありません。
 物理学的には、「応力ひずみが最大化するところ」です。(振動とはあまり関係ないかも。振動は場所を見つけるためにあるだけで。)
Posted by 管理人 at 2009年11月09日 18:10
あらかじめ焼き鈍し(やきなまし)処理を行っておくと、処理した部分は非常に柔らかくなりますので、簡単に曲げられる筈です。
オーディオ用の銅製のケーブルでも、焼き鈍ししてある物は驚くほど柔軟です。
Posted by MSどす at 2009年11月09日 23:33
> あらかじめ焼き鈍し

そりゃそうですけど、そんなのはインチキです。
手品用の専用スプーンを使うというのも駄目。

だいいち、子供でもわかるぐらい平凡で、つまらない。
Posted by 管理人 at 2009年11月09日 23:57
棒のように均一断面で無い場合、一番細い部分つまり断面係数の小さい部分が曲がるのでは。
Posted by 3 at 2009年11月10日 21:02
 曲がるかどうか、というふうに考えているから、誰もが失敗するんです。

 曲がるんじゃなくて、曲げるんです。ここが大事。
 そして、そのためには、力の掛け方が重要。どこも太さが均一の棒で、どこが折れるか、考えてみてください。
Posted by 管理人 at 2009年11月10日 21:53
スプーン曲げのマジックを宴会芸でやりますが、全く同じ方法でやっています。
この方法なら、よほど頑丈な物でない限りほとんど曲がりますよ。
Posted by はらへった at 2009年11月12日 21:06
スプーンを曲げるなんて事ふつうあまりやらないから,実は思いのほか簡単に曲がってしまう事実がほとんど知られていない,というのがミソなのかも知れませんね。
Posted by 良寛 at 2009年11月12日 23:35
 手品はみんなそうです。タネを知れば簡単だが、タネを知らなければ……
 という話は、コロンブスの卵と言われています。

 ま、超球理論であれ、クラス進化論であれ、将来になってみれば、「何でこんな簡単なことを昔の人は理解できなかったんだ?」と思われるでしょうね。
 先入見・偏見が問題。
Posted by 管理人 at 2009年11月13日 00:07
「てこの原理で」というのは間違いだ、と本項の最後で示した。 【 追記 】 の箇所。

 タイムスタンプは 下記 ↓
Posted by 管理人 at 2010年05月27日 19:54
早速やってみたところ、出来ました。
理論的な説明で分かりやすかったです。
Posted by 初挑戦 at 2012年01月08日 01:57
前後に振動とは?デコピンなどをするってことでしょうか?
Posted by ユリユリ at 2012年07月20日 15:39
> 前後に振動とは?

 1秒間に1往復ぐらいの周期で、ゆっくり揺らすことです。振り子時計の振り子みたいな感じ。
Posted by 管理人 at 2012年07月20日 22:53
力を入れずに、揺らしていたら、急に曲がりそうになり、続けていると、グニャリと弱い力でまがり、自分でも驚きました。
Posted by 曲がりました at 2014年06月20日 05:44
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。